脳へと視覚情報を伝達
網膜色素変性症をはじめ目の疾患で光を失った人へ向けての、
視覚確保の試みは、世界各国で進められていますが、もっとも
実用化が近いと期待されているのは、視覚情報を直接脳へ送り込んで
脳内で視覚を可視化しようとする実験です。
たとえば網膜色素変性症では、網膜の働きが悪くなって視界が狭まっ
たり、色覚が判別出来なくなるなどの障害が発生したり、視力が失わ
れれたりして、失明や全盲状態に陥ることが起こりますが、眼球内の
視覚機能は失われても、眼球から先の視覚情報処理システムはそのま
ま機能を有した状態のままであることが多いのです。
このため網膜色素変性症のように網膜の働きを補完するハイテクが
開発さえされれば、視覚は得られるという理屈です。
具体的にはカメラ機能を持つ眼鏡を装着して、そこで得られた視覚情
報を脳内に伝達して視覚化する方法や、眼球に代替網膜のような機能
を埋め込んで、脳へと視覚情報を伝達しようとする方法などが実験
段階として知られています。
すでに世界各国では一定の成果も次々と報告されており、イギリスで
は失明した視覚障害者が、30年ぶりにハイテクの恩恵で新聞紙面や
外界の景色を認識して堪能した、というニュースももたらされていま
す。
再来年にも人間へのインプラント実験
そして、この4月8日にはオーストラリアの研究チームが、目に電極
アレイを埋め込んで、網膜の神経細胞に直接的に電気的刺激を送り
込むシステム「バイオニック・アイ」を開発したと発表しました。
昨年にはマサチューセッツ工科大学の研究チームが、埋め込み式の
チップを開発したと発表していますが、このシステムは、眼球に埋
め込んだマイクロチップが、ハイテク眼鏡につながっていて、眼鏡
からの視覚情報がチップに到達すると、電極が神経細胞を刺激して
、視覚情報を脳に伝達する仕組みです。
バイオニック・アイも基本的にはこの考え方に準拠する方式ですが、
マイクロチップが電極アレイに変わっているところが新しい技術と
なっています。
肝心なのは視覚情報の見え方ですが、当初は大きな障害物が認識出来
る程度、カメラの解像度で例えれば100程度から出発するようです。
ですが画素数そのものは技術的にはすぐに格段のアップは可能なよう
で、100の画素数に成功すればほどなく1000の画素数に進歩させるこ
とはさほどの難関ではないそうです。
早ければ再来年にも人間へのインプラント実験が開始される予定だそ
そで、眼球内だけが原因となっている視覚障害は間違いなく近い将来
には克服されるという予感を感じさせる明るいニュースでした。




