研究者や患者から熱い注目
網膜色素変性症の患者さんの最大のものはやはり視覚の回復に
尽きるでしょうが、特定疾患の指定難病であるためか、現状では
確実な治療法がないところが、どうにも困った点ではあります。
世界的にも様々な取り組みが行われていて、一定の成果や前進は
報告されていますが、今のところでは網膜色素変性症を完治させる
入り口にようやく達しようか、という段階ではないかと思います。
治療法に関しては網膜の失われた機能そのものを回復させる方法や、
機能しない網膜の代わりを代替する方法など、色々なアプローチが
試みられていますが、眼球の奥深くに存在して脳とも密接な神経の
ネットワークで繋がっている網膜については、直接間接を問わず、
外科的な療法も薬学的な治療法もきわめて困難とされてきました。
微細な神経を修復したり回復させることは至難の業であることは
想像に難くはありませんが、いかな現代医学の驚異的な進歩を
もってしても網膜の機能を回復させることは難しいとされてきました
がここしばらくの世界各地の研究者の取り組みは、そういうこれまで
の思い込みを駆逐する勢いと成果を報告しています。
中でも細胞を使って網膜色素変性症を治療しようとする実験には、
研究者はもちろん患者からも熱い注目が寄せられています。
網膜細胞に対する治療の可能性
今回報道されてたのは、コロンビア総合大学医療センターが率いる
国際的な研究チームが、マウスの胚性幹細胞を使って網膜色素変性
症のマウスの網膜細胞を置換して、視野を回復させようとした実験
についてでした。
胚性幹細胞(はいせいかんさいぼう)とは、動物の発生初期段階の
胚盤胞期に、胚の一部である内部細胞塊から作られる幹細胞細胞株
のことで、細胞の特徴として、分化する能力があって、長期間にわ
たって細胞自身を複製したり再生する能力も備えています。
この特性を生かして網膜色素変性症のマウスの視野を回復させる
実験に成功したとのことで、回復の可能性に光が差したことは
もちろんのこと、合わせて網膜細胞に対する治療の可能性を開いた
ことでも、大きく評価されるべき実験だといえるでしょう。
願わくば一刻も早い臨床段階での成功の報告と実用化への見通し
を聞きたいものですが、こればかりはいくら気が焦っても致し方
ありませんね。
明日明後日にはどうにもならないことは百も承知なのですが、
それでも特段の配慮でこのような研究がスムースに進められる
ことを切に願うばかりです。




